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日記「あじわい」

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ACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)の位置づけその2#148

今回ACTを教えてほしいとの要望もあって、改めてACTに関する書籍を今日も読んだのだが、今読むと根底に流れる思想が見えたように思う。

ACTは、スキナーの行動主義から由来しているのはわかっているのだが、今回知れて大きいのは、プラグマティズムの流れを組んでいること。

使われている言葉遣いやそこに含まれている意味内容から、かなりしっくりきた。

たとえば、ラスハリスの書籍をとっても、以下のようにそれを随所に感じる。

悟りへの道を説いた精神世界やスピリチュアルの本は巷にあふれており、そのすべてが現在に生きることの大切さを強調している。

ACTはこの領域にも踏み込まない(ACTの目的は、人生を創造することであり、悟ることではない。)

ラス・ハリス「幸福になりたいなら、幸福になろうとしてはいけない」P168

上記からまず、トランスパーソナル心理学とはかなり異なっていることが明確にわかる。

他に特徴なものとして、

ACTは、宗教でも神秘主義でもスピリチュアルへの道でもない。そこにいくつかの類似性はあるが。

ACTは、内面の経験を受け入れ、現在に存在し、自分の価値に従って行動することにより意味ある人生を創造する、科学に基づいたプログラムなのだ。そして、何かを決定するポイントは「有効性」だ。

ラス・ハリス「幸福になりたいなら、幸福になろうとしてはいけない」P169

ACTは、科学のひとつの流れであり、人間行動への理解、予想、影響などを模索する行動心理学の伝統に深く根ざしている。ACTの主なコンセプトは「有効性」である。行動における有効性とは、その行動が豊かで意味ある人生を創造するために、どのくらい役立つのかということだ。

ACTでは、人生を向上させる行動をたすけるためにマインドフルネスのテクニックを学ぶ。またACTでは、超常的な現象や、隠れた真実にふれるためにマインドフルネスを行うことはない。

脱フュージョン、拡張、接続などが効果的な行動に役立つ場合、それらは実践する価値がある。逆に役立たない場合、それは行うべきではない。絶対の基準は、それが自分の望む人生の助けになるかどうかである。

ラス・ハリス「幸福になりたいなら、幸福になろうとしてはいけない」P167

いかがだろうか。
これぞプラグマティズムと言わんばかりの思想を色濃く感じる。

プラグマティズムの思想は非常に重要であると思うが、ウィルバーの言葉を借りると、「正しいが一部に過ぎない」。

マインドフルネス1つとっても、それを役立つ役立たないの有効性でジャッジすると、マインドフルネスがもつ他の意味が消えてしまう。

もちろんこれらはラス・ハリスの文章であるし、翻訳者の世界観であるという前提はある。

改めてだが、心理療法をどう使い分けるのか?という自身がもつ問いは、真に心理療法を理解するには、実践を重ねることはもちろんなのだが、その心理療法の根底に流れる思想は何なのか?に触れることが大事に思う。

それはそれを提唱した心理学者が何に影響を受けていて、どのような思想をもっているかに立脚する。

ここまで理解することが大切であることを、今日は改めて感じた。

2021年5月9日の日記より
2021年5月11日

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