ロバート・キーガンの成人発達理論やティール組織の高まりから注目をここ数年関心が高まっているインテグラル理論。
ILP(インテグラル・ライフ・プラクティス)とは、インテグラル理論を自分自身の変容へ活用した実践のガイドである。
私自身、インテグラル理論・ILPを活用して自己変容に活用したり、コーチとしてクライアントへ発達支援を微力ながらサポートさせていただいている。
今日は、私自身のILPデザインと実践内容を公開します。
何か関心が高い方向けに参考になれば幸いです。
CONTENTS
インテグラル理論とは
まず簡潔に、インテグラル理論とILPとはなにかを述べたい。
インテグラル理論とは、メタ理論である。インテグラルとは”包括”、”統合”という意味で、東洋と西洋の叡智(心理学や哲学など幅広い学問等を含む)を統合した理論となる。
その理論をもって、人や組織や社会にある多様で複雑な世界を読み解き、探求するための指針となるものになる。
インテグラルライフプラクティスとは
ではILPとは何か。
簡素化すると、4つのコアモジュール「ボディ」「マインド」「スピリット」「シャドー」があり、すべての実践領域を同時並列的に取り組むことで、自らの治癒と成長を促す取り組みのこと。
また、4つのコア・モジュール以外の無数の領域を付属モジュールとして、人生のそれぞれの瞬間において、集中すべきモジュールに取り組む。それは、仕事であったり、家族、性、人間関係、創作活動、金銭管理、倫理など、様々に及ぶ。
(ものすごく色んな情報が割愛されてしまっていることをご了承ください)
なぜこの4つなのかというと、あまたの理論がこの4つの観点で展開していることが多く、人間のアウェアネス(気付き)を拡張するには、この4点が良いからである。
ILP(インテグラルライフプラクティス)の要諦
あまりに多くのことが言えるのだが、ここでは粗く2つの要諦を話したい。
1つ目:インテグラル理論という地図であるという認識をもつ
まず、インテグラル理論は地図であるという認識をもつことが重要だと思っている。
どういうことか。
冒頭の説明のとおり、数百の理論を統合したメタ理論であり、それは地図なのである。
世界一周するのに、世界地図をもたず行っても漏れが出てしまうように、自己変容・発達を実践するにあたり、全体の地図がなければ色んな観点が抜け落ちてしまう。
地図をもつことで、人間の全体性から抜け漏れなく、多様な次元と視点に注意を向けることができる。
あれかこれかではなく、あれもこれもで、全人格的な発達を意識するためにインテグラル理論という地図が役立つ。
逆に言うと、地図は全体を示すが詳細には書かれていない。
詳細は、別途詳しい専門書を見る必要があり、インテグラル理論だけで自己変容は難しく、うまく他の専門書を活用することが重要となる。
※補論
そもそもインテグラル理論が本当に全体を示しているのか?という問い
この問いが出る方は、その問いは重要で、他にもメタ理論と呼ばれているものはあるのでぜひ探求するのがよいだろう。
今現在、インテグラル理論が意識研究においては、ほかの理論に比べ包括されているのであって、この際探求が進み、さらに高次に統合されたものが出れば、それに道をゆずっていくことになる。
2つ目:日常生活すべてが実践の場
一方、地図ばかりに目を向けていて、周囲にひろがる美しい光景を眺めるのを忘れてしまう。
1日1日を丁寧に味わうように、1つひとつの瞬間に息づく多様な現象に意識的に向き合うことが重要となる。
それは時に仕事の中であったり、家族の中であったり、金銭のやりくりの中や日常のあらゆる生活の中にある。
言葉をかえると、インテグラルライフプラクティスを実践していくと、どうもヨガスタジオでの実践中、読書している最中と、掲げた項目だけが実践のように思われるが、重要なのは人生すべてが実践の場ということである。
阿世賀個人のILPデザイン
ここからは、私個人のILPを公開する。
ILPのデザインは簡単で、以下の表を埋めてみる。
それぞれのモジュールの意味、どのワークがどれに該当するかは書籍を参考にしてもらいたい。
実践してみての感想・気付き
実践してみての気付きをあげたい。
多くは、毎日綴っているリフレクションジャーナルの中で記載していることがその気付きになるのだが、改めてわかりやすい気付きを残しておきたい。
どの領域を排除しているのかがよくわかる
まず埋めてみるとわかるように、多くの人がシャドーワークやスピリットワークが抜ける。私自身は、マインドモジュールしか取り組んでいなかった。
ここで自分がいかに自己の全体性を大事にできていないか露骨にでる。
私自身コーチの仕事をする際、発達支援のコーチングをするしない問わず、思考や認知だけでなく、感情、身体感覚、直感、無意識と総合的に活用して探求することを重要視しているが、自分自身が全領域を実践できていなければ、コーチングの際にも扱っているようで扱えていない。
自分の状態を理解して、順番に埋めていくことにした。
それぞれのモジュール実践での気付き
私の場合、マインド以外の領域を新たに実践を始め、その気付きを大まかに書きたい。
シャドーワーク
私にとってシャドーワークは、無職の時に受けていたコーチングが良いシャドーワークだった。特に私にとっては、承認欲求や羞恥心をどう手放すかがポイントだった。
小さい会社ながら、経営者としてしていたのに、自分が転職などしてサラリーマンになることが嫌と思ってしまう小さいプライド、承認欲求、羞恥心があり、それと半年以上かけて向き合ってきた。
最終的に、手放すことができ(厳密にはコントロールできるようになった)、ずいぶん生きやすくなった。
スピリットワーク
私にとってスピリットワークは、瞑想。実践していくと、目の前のことへの集中力が高まった。直感的な部分は、瞑想の実践だけでは足りないように思っていて、他の実践を通じて高めたいと思っている。
ボディワーク
私にとってボディワークは、最近始めたヨガにあたる。身体感覚が研ぎ澄まされ、身体の異常な変化に気付きやすくなったし、何より身体を活用することで、結果的に瞑想が深まった。
自分の呼吸を通じて、意識状態の変化を意図的に起こせるようになりつつある。
クロストレーニングの重要性
ヨガ自体がボディワークとスピリットワーク両方に書いたように、1つのトレーニングが、複数の領域をまたぐこと、あるいは領域のつながり・連動を意識することが重要となる。
たとえば、先ほど述べたように、ヨガというボディワークを通じて、結果的にスピリットワークが深まったように、多くのことが連動している。
身体を伸ばすことで、心も伸びていく感覚が得れるように、人間のあらゆる要素は繋がっている。
他にも、食についても、ボディワークにあたるが、それがボディワークだけに留めるにはもったいない。食を通じて倫理を考えること、シャドーをあつかえること、マインドをあつかえることも十分ある。
今はこのモジュールを高めたいというのがあったとしても、ほかを実践をすることが、結果的にそのモジュールが深まることを感じた。
あらゆる実践のつながりを意識して、クロストレーニングの深さを感じる。
日常での展開の重要性
要諦でも述べたが、これを日常で実践することが重要である。
私の場合でいうと、たとえばヨガで実践する呼吸法を日常の中で取り組む。
PCで資料を作成している時、信号待ちをしている時、あらゆるところで使うことで、今抱えている仕事や家族での課題に活きる。
例えば、私でいうと先日、師匠へスーパービジョンをする際、緊張したが、その際にも呼吸法を実践することで良い状態で実践することができた。
こうやって、各モジュールで実践することを、今抱える現実の課題にどんどん応用していくことの重要性を感じた。
以上となる。
拙い部分はありますが、少しでも何か感じるところがあれば幸いです。
これからも引き続き、自分自身を一番の実験台として自己変容に取り組んでいきたい。
2021年2月15日