ここまでくると、変態である。
その自覚を自分で持っておいたほうがいい。
発達理論はキーガンが広く認知されているが、発達理論の中では、ワンオブゼムに過ぎない。
クックグロイターの自我発達理論を学ぶことで、より発達理論に対する解像度が上がった。
今日は理論の特徴と、自分が意識していくことを残しておきたい。
CONTENTS
スザンヌクックグロイターの発達段階の特徴
まずもって、多くの発達理論を学ぶにあたって、他の発達理論との差異は何なのか、共通項は何か、その点に触れたい。
それにあたっては、クックグロイター本人について触れる必要がある。
まず、クックグロイターのユニークさは、もとは言語学者だったところが大きい。
各段階の内面的特性が、精緻な言語で表現されていて、言語分析を強みにしている。
そこから構成主義の立場も文章から伺える。
ハーバードにてキーガンとともに研究をしていたこともあるようで、構成主義の立場は同じとなる。
クックグロイターの発達段階にも、前慣習的段階、慣習的段階、後慣習的段階という分類がされており、この点もキーガンと同じく、倫理の発達を研究したローレンス・コールバーグの発達段階に対応する形で表現している。
加えて、ジェイン・レヴィンジャーの理論を発展させたものとなっている。
それを踏まえた上で、特徴を整理しておきたい。
門林奨さんの着眼点としてイントロダクションであげられる本論文の特徴として以下があげられている。
- 各段階の内面的特性に関する記述が充実している(例えば、防衛作用、恐れ、世界観など)
- 高次の段階についての記述が充実している(自律的段階、構築自覚的段階、一体的段階)
- ウィルバーの「アンバー段階」が2つに分けられている(順応的段階と自意識的段階)
追加として、私個人として感じたことをあげると、
- 誕生して未発達の段階である段階から記述がある(インフラレッド、マジェンタ)
- 誕生から自我の超越にいたるまでの自己意識の拡大の図式
この図式がわかりやすく理解を促してくれる。
特に、視点が独自の展開で、4人称的視点、5人称的視点と、人称視点(person perspective)を軸に図式化されている。
上記を総合して述べると、クックグロイターの理論は、他の理論に比較してより精緻な理論のように思う。
特に、高次の段階についての記述が充実しており、第二層の自律的段階(ティール)、構築自覚的段階(ターコイズ)に加え、第三層の合一的段階(インディゴ)までも充実した内容で書かれているのは、私にとって学びあるものだった。
人称視点を軸に情報整理
クックグロイターの独自の人称視点だけを切り取り、改めて整理した。
もちろんこれを補足する情報や、これ以外にも重要な点が多くあるので、ごく一部を切り取ったに過ぎないが、これだけでも雑感だがわかる部分もある。
グリーンからティールは、後慣習的な段階(the postconventional stage)の第一レベル(グリーン段階及びティール段階)に当てはまり、第二レベルとしてターコイズが現れる。
グリーンからティール以上に、ティールからターコイズはさらに異なる世界観をもつことが雑感だがわかる。
構築自覚的段階(ターコイズ)あたりから内容がより一層難しくなり、言葉として理解できる部分と実感としてわかない部分がどうしても多くなる。
真の理解とは、知行合一で実感を伴ったものを考えると、私には理解できていないところが多いものの、単に言葉だけでも触れていくことにも発達的な役割があるように感じる。
例えるなら、塗り絵のようなもので、言葉にふれることは、塗り絵のフレームだけをいただき、実践の中で体感できるようになれば、ようやくその塗り絵に色が塗れた状態にできる。
森を描くにしても、塗り絵の輪郭があれば、塗りやすいのと同じように、概念だけでも触れていくのは発達の効果があるだろう。
実践の中で意識していきたいこと
さて、今回読んでみて、私自身が実践の中で意識しておきたいことは大きく2点。
(1)4人称的視点をより強固にさせること
4人称的視点というのは、アンバーからオレンジに発達する過程で芽生える自己を客観視するという3人称的視点を、さらにメタ認知する形で、システムの外側から見る視点になる。
具体的には、自分がこれまで行ってきた意味構築活動が、どのような社会的、文化的に条件付けられたもので構成されているのかまで観察して捉えること。
この際、おそらく具体的には、いくつかの要素が組み合わさって観察できるものであるように思う。
というのも、1要素としては、思考の前提を疑うダブルループラーニング、もっというとトリプルループラーニングぐらいいくつかの前提を超越させていくような思考が必要になること。
2要素目として、それらの前提となる社会的、文化的なものには、どのようなものがあるのか、歴史の文脈もおさえた知識がなければ、仮説が生まれにくい。
さらに、3要素目に、それらがシステム思考を活用しながら、システムとしてどのように存在していて、どのように私たちに影響を与えているのかを捉えられることによって、ようやく観察が可能になるように思う。
また、4人称的視点には、自己固有の信念を意識的に精査して、どのような心的枠組みがあるか、自ら立脚している仮定を検証しながら、再構築することも重要になる。
これについても、いくつかの要素が必要となる。
まず1つ目の要素として、自己の思考・認知のみならず、感情、身体感覚、行動が相互作用していることから、それぞれの感覚を認識できることがある。
続いて2つ目の要素として、それらがどのような相互作用からなっているかの心的システムとして捉えることが必要となる。
さらに、3つ目の要素として、それらのシステムの一部として、自らの無意識、シャドーをも気付き捉えること。
この3点は、どれも気付く段階の話であって、ここから検証していく段階に入る。
この検証にあたっては、これまでクライアントへ実践している認知行動療法などを活かしながらセルフで実施していきたい。
これらのことをしていくと、私自身が大事にしたい「今をあじわう」ということがより深淵なものになっていく。
それもそのはずで、この段階にいたらない人がみると、同一の対象・事象のようにみえるものが、主体となる自己も客体となる対象・事象も、システムとして変わり続けていることに気づけているので、より新鮮なものとして受け取れるようになるからである。
(2)4人称的視点から獲得されたものを統合、調和させていくこと(結果拡大された4人称的視点となる。)
(1)によって差異化されたものを統合することに傾倒したい。
具体的には
・相対主義の代わりに、自分自身が新しい意味を創造するに責任をもつ。
・社会的なシステムにおいても、システム的なパターンや長期にわたる傾向性を理解して、戦略的な能力が高まる。
・コーチとしても他者が新しい意味を創造することを信じ、それに対する手助けを行う。ただし、自律的段階がもつ発達は質的なものとして差異が存在することから、発達に対する善という認識が強いがゆえに、他者の発達にもどかしさを感じることが強く、自己の言動に注意したい。
以上のことを意識していきたい。
2021年3月17日の日記より
2021年3月18日