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日記「あじわい」

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わかりやすく詳しい「行動探求(行動理論)」の要約&解説&他の発達理論・インテグラル理論との関連性の考察#186

行動探求という素晴らしい著書があるのだが、やや読みにくい部分もある。
そこで、本記事ではなるべくわかりやすく要約&解説したい。

1)インテグラル理論、成人発達理論、初めての方には、
・行動探求とはどういうものか、
・発達理論とはどういうものか
をつかめるように。

2)インテグラル理論、成人発達理論の探求者には、
・他の発達理論との関連性
・行動理論は他の発達理論と比較して、何が共通で何が差異なのか
・行動理論固有の特徴や魅力は何か
の考察を残し、何か参考になれば嬉しい。

1)の初学者の方には、「上位の行動理論に向けての実践(発達に向けての実践)」以降は読み飛ばしていただいてもいいし、

2)の探求者の方には、逆に「上位の行動理論に向けての実践(発達に向けての実践)」から読んでいただいてもいいし、前半は前半で、復習を兼ねたり、私がどのように説明しているかという観点などでも読んでいただいてもいい。

行動探求を一言でいうと?

著書を言葉を借りると以下になる。

「行動探求は、わたしたちの行動のより幅広い効果を高まる。律されたリーダーシップ習慣として、行動と探求を同時に行う方法である。

これができれば、個人も、チームも、組織もさらに大きな機関も、もっと自己変容できるようになり、それによって、より創造的で、より自覚的で、より正しく、より持続可能になることができる。」

ビル・トーバート「行動探求」P19

従来は、「行動」と「探求」(ここでは、内省と捉えてもらったらいい)とは、本来別々ものと考えられてきた。
というのも、行動の後に、探求がある。

しかし、行動探求とは、行動と探求を同時に行う

行動しながら、自分の内面や外面、その場に起こっていることに意識を広げ、行動をしながら瞬時に振り返り、タイムリーに適切な行動を起こすことをいう。

これにより、
・いまここで起ころうとしているリスク(危機)やチャンス(機会)に敏感に気付けたり
・より柔軟になり、適切なリーダーシップがとれるようになる

またこれをチームや組織に応用していくことで、
・「学習する組織」へと導く
ことになる。

行動探求のベースとなる認知の発達とは

行動探求は、行動のパターンを7つにわけている。これを7つの「行動理論」と呼んでいる。

行動理論は、発達理論のうちの1つである。

発達理論というのは、名のとおり、発達する理論の総称、カテゴリ名みたいなもので、成長というより成熟していくイメージで捉えてほしい。

発達する項目は多様なものがあるのだが、行動理論では、「認知」の発達が密接に関わっている。

「認知」の発達というのは、発達すればするほど、認知できることが増えるということ。

たとえば、ジブリ映画1つとってみても、小学生が見ても面白いし、45歳くらいの教養のある大学教授がみても、それはそれで社会的、政治的背景が見えて面白い。

これは、発達していくことによって、これまで認知できなかったことができるようになっているわけである。

行動探求においても、自分の行動を改善することは、自分の行動に何か違和感を感じたり、課題を掴んだり、認知することで改善ができる。
当たり前だが、気付いていないことには改善することもできない。

だが、発達していくことによって、気付いていないことに気付けるようになっていく。

ゆえに行動探求は、認知の発達と密接に関わっている。

さらに、発達することは、気付ける範囲が広がる(認知が広がる)だけでなく、時間的にも瞬時に気付けるようになる。

皆さんも、「あの時、ああ言えばよかったな〜」と後になって思うことがあるだろう。これも発達していけば、瞬時に気付いて改善できるようになっていくのである。

ゆえに、上記で「行動探求とは、行動と探求を同時に行う」をきいて、そもそも、行動しながら内省(探求)することなどできるのだろうか?と思ったかもしれない。

過去の自分と比較すれば、確実に探求できる範囲は広がっているし、今後も発達していけば、できるようになってくるので、安心いただきたい。

探求の範囲

では、具体的に行動しながら、どの範囲まで「探求」できるのだろうか。探求の範囲をみていきたい。

システム思考、メンタルモデル、U理論をご存じの方は、そこで出てくる概念、氷山モデルを補助線に理解するとわかりやすい。

氷山モデルとは、目に見えるできごとは、氷山が水面上の一角しか見えないかのごとく、水面下で様々な要因があるというもの。

行動探求の書籍でも、「4つの体験領域」が出てくるが、こちらは氷山モデルと関連させると理解しやすくなる。

行動探求1

第1領域は、目に見える結果。
第2領域は、その結果を生み出した行動。
第3領域は、自覚・無自覚とはず、その行動を生み出した戦略・構造。
第4領域は、戦略・構造そのものを作られた意図、目的、信念、メンタルモデル。

この4つの体験領域でみたとき、探求できる範囲は、発達すればするほど深く、広くなっていく。

通常、振り返る際、自分の行動を振り返るので、それは1次ループ学習(フィードバック)となる。

行動の奥には、その行動を作り出す戦略・構造があり、そこまで振り返ると2次ループ学習(フィードバック)。

さらに、戦略・構造の奥にある、意図、目的、信念まで振り返られると3次ループ学習(フィードバック)となる。

4つの体験領域と◯次ループ学習の例

たとえば、私は今この瞬間、ブログを書いているわけだが、これを行動探求で解説するなら、

1次ループFBは、書きながら
・ここ納得しっくりこないから、こういう風に書き換えた方がいいな
・お尻が痛くなってきたから、座布団敷こうかな
という行動改善が生まれる。

2次ループFBは、構造そのものにアプローチする。

よく犯罪は、構造が生み出しているという話がある。
窓ガラスが割られっぱなしだと犯罪がしやすくなるし、きれいな街だったら犯罪しようと思わなくなるという話。

1970〜80年代のニューヨークが犯罪都市と言われたが、環境そのものをよくすることで治安が向上した。

ただ、構造と1口にいっても、多様なものがある。

さきほどのブログの例にもどすと、考えやすいのは、簡単な環境面。
・なんかブログを書くことに集中できない。これは、自分の部屋という誘惑が多いところにいるからではないか
・ブログが進まない。というのも、仕事と違って、書かなくても誰にも迷惑かけない状況にいるからではないか
・ブログを毎日続けられる。というのも、noteには、メダルがあって、連続投稿するともらえるし「おめでとう」ともいわれる。。ハッシュタグで見られることも多い特性がある。ダッシュボードでPV数も簡単に見れる。このモチベーションは、noteという構造が生み出している。

というようなもの。

もう少し高度な構造になってくると、言語、資本主義、人間というようなあらゆるシステム(社会システム、経済システム、心的システム、生命システムなど)まで入ってくる。

3次ループFBは、意図だが、わかりやすいのは、暗黙(無意識)になっている意図や目的がないのかということを振り返る。

ブログの例でいうと、
・このブログは私が自分の整理のためにブログを書いているという意図だが、実はこれを通じて誰かと繋がりたいと思っているのではないか、ビジネスに繋がったら嬉しいと思っているのではないか、だからよく使われているnoteという媒体(構造)を選んでいるのではないか。だから、文章に自分を弱い部分を載せず魅力的な部分ばかり書いているのではないか。

という具合である。

もちろんここにも、もう少し高度な意図、目的、信念、メンタルモデルがある。

自分ではなかなか気付きにくい隠れた目的、欲求がある。(インテグラル理論でいうシャドー)

4つの体験領域と発達構造の関係

さきほど、「探求できる範囲は、発達すればするほど深く、広くなっていく」と述べた。

発達には、わかりやすく段階をつけて区別している。

行動探求では、行動理論という7つの段階をつけている。
1段階目の機会獲得型から順に発達していき、7段階目のアルケミスト型まである。

行動探求2

図のように、基本的には2次ループができるのは、3段階目の専門家型と4段階目の達成者型になってから。

3次ループは5段階目の再定義型からになる。

後ほど述べるが、厳密には、誰もが簡易なレベルでは3次ループまでいけて、発達すればするほど、より高度なループまでできるようになってくると解釈している。

(なぜなら、理由は後ほど述べるが、私自身は、行動理論はインテグラル理論でいう発達段階でありながら意識状態のようなものとも解釈できるし、その方が現実性があると捉えているため。)

なお、本記事は、個人に特化していますが、二者間、組織レベルでも話が展開されている。

行動探求9

7つの行動理論

では、ここからもう少し7つに分けられている行動理論をみていきたい。

7つは発達していくのだが、それは単に先ほど述べた何次ループだけの話ではない。その段階固有の行動特性がある。

行動探求、行動理論1

行動探求、行動理論2

自分の行動、世の中の人の行動をよく観察してみて欲しい。

ほぼ、というかすべてと言っていいくらい、この7つのどこかには当てはまないだろうか?

初めての方向けに、少しわかりやすく補足したい。

(1)機会獲得型(レッド)
一言でいうなら、極めて自己中的な行動。
短期的な視野で、他者を利用してまで、自分の損になることを避け、得になる機会を獲得しようとする行動

たとえば、営業部で他の営業マンを蹴落としてまで自分の営業ノルマをあげようとする行動。

(2)外交官型(アンバー)
一言でいうなら、従順な行動。
他者のいうこと、組織のルール、社会の常識などをそのまま鵜呑みにする。
外交官のように、八方美人で角の立たない言動

たとえば、上司のいうこと、メディアで報道されていることに何の疑問ももたずそのとおりに信じて行動する。

(3)専門家型(アンバー/オレンジ)
一言でいうなら、問題解決に関心をもち、効率重視の行動。
独断的で、目立ちたがり、専門家客観的なデータを好んで、何からの分野が詳しくなり専門家のような行動

たとえば、マーケティング部で、データを重んじ施策を考える行動。

(4)達成者型(オレンジ)
一言でいうなら、達成することにこだわる行動
専門家より、より長期的にものごとを見てるようになる。

たとえば、営業部長が来期の営業目標と施策を考える行動。

(5)再定義型(グリーン)
一言でいうなら、色んなものを尊重しようとする行動。
これまで自信のあった自分の行動に疑問を持てるようになる。
そのため、自分の考えとは異なるものに関心をもち尊重する。(相対主義)
まるでこれまでの考えを再定義するかのごとく。
色んなことが見えるため矛盾は抱えたままで意思決定ができずにいる。

たとえば、会議で、自分の意見を言いながらも、他者の意見を積極的に聴き、その意見も肯定するような行動。

(6)変容型(ティール)
一言でいうなら、柔軟で矛盾を乗り越えた行動。
高度なシステム思考で社会構造を捉え、自分の特徴やシャドーにも自覚的になる。
再定義で見え始めた矛盾(たとえば、短期と長期、プロセスとゴール)に対して、それらが矛盾することなく織り合わせた意思決定や行動ができる。より柔軟かつ力強く、変容するかのごとく行動する

たとえば、ジブリ映画でいうもののけ姫のアシタカや風の谷のナウシカのナウシカは、人と自然と調和させるような行動をしている。

(7)アルケミスト型(ターコイズ)
アルケミスト型は一言では表現しにくい。
変容型以上に、敏感に広範囲かつ深く認知ができている。
より社会の根底にあるものを変化させようとする。
アルケミストは錬金術師という意味で、人間の肉体や魂をも対象にして完全な存在へと錬成しようとする。

たとえば、アパルトヘイトを廃止したネルソン・マンデラや、非暴力・不服従でインドの独立運動を指揮したマハトマ・ガンディーは、アルケミスト型の行動の賜物。

(マンデラやガンディーは、厳密には、アルケミスト型以上、インテグラル理論でいうターコイズの上のインディゴやヴァイオレットといった第三層かもしれない。)

含んで超えるという概念

これらの7段階は、成人発達理論で展開される発達段階、インテグラル理論でいう発達構造に値する。

共通して、「含んで超える」という重要な概念がある。

ビルをメタファーに使われるが、1階部分の機会獲得型からスタートし、1階という土台をきっちりできあがったあと、2階という外交官型というフロアができる。そうやって、人が発達していくにつれ、ビルが高くなり、色んな行動パターンができるようになる。

2階建ては、1階もあるわけで、2階(外交官)と1階(機会獲得)が使えるようになる。
ゆえに、7階建てまで建ったアルケミスト型であっても、1階の機会獲得型の行動をもっている。

これが発達の「含んで超える」という概念。

上位の行動理論に向けての実践(発達に向けての実践)

では、上位の行動理論に向けてどのような実践をしていければいいのか。

これは、あまりにも深い話であるが、一部を切り出す形で簡易的な実践を紹介したい。

(私自身は、仕事として発達に向けた支援をしているので、もし詳細を知りたい方は連絡いただきたい。)

ここでは、行動探求につながる【直接的実践】と【間接的実践】にわけて説明してみたい。

【直接的実践】

直接的実践とは、行動探求に出てくるものを直接的に鍛える実践。

(1)格子を用いたリフレクション

気軽に実践するには、このような格子で実践できる。
書籍から引用してきた。

行動探求5

ここでは、簡易にするために、行動の次に、構造と意図をセットにしている。詳細は、書籍のP69のダナの事例を参考にしてほしい。

実際活用する際のヒントになればと以下を用意した。

⑤の望ましい状態が、肝になるだろう。

行動探求6

(2)構造そのものを鍛えるシステム思考

2次ループ学習をするには、構造そのものを掴む必要があり、システム思考が有効になる。

また本ブログでは、構造をメインで説明したが、戦略の領域でもあるため、戦略を描くこともよい実践になる。

(3)メンタルモデルに気付きをつなげるセッション

3次ループ学習には、自分の無意識、シャドーに気付くことが重要である。
自分で気付くこともできるし、ゲシュタルト療法、プロセスワークといったシャドーに強い心理療法を扱えるカウンセラー・コーチと対話をして見つけることもおすすめである。

私の日記(リフレクションジャーナル)でも、シャドーワークというものの取り組みをいくつかあげているので、よければ参考に。

#シャドーワーク

中でも、自己で取り組みやすいものとしては、
・夢について扱うドリームワーク(以下、夢についての私のジャーナル)

“夢”の探求、仏教、フロイト、ユング、フロム、パールズなどを通じて#142

 

・怒りを他者へ投影しているものに気付く(以下、関連した私のジャーナル)

ジャーナリングを通じたシャドーワーク#123

はおすすめである。

【間接的実践】

間接的な実践を紹介したいが、こちらの方が重要になる。

というのも、そもそも発達というのは、時間がをかけて起きてくるものであるし、自分が意図して発達しようしようと思えば逆効果になるというパラドックスも含んでいる。

(このパラドックスも変容型(ティール)になれば、実はパラドックスではないことに気づき始める)

むしろ、一見関係ないものが発達をもたらす。

そこで具体的には、関係のないもののように見える実践も含めて、真に包括的に色んなことに実践することをおすすめしている。

具体的には、インテグラル理論を自己変容に落とし込んだインテグラルライフプラクティス(ILP)というもの。

専門的にいうと、全象限、全レベルで、日常のすべてから学習する。

ILPについては、よければ参考に。(以下、私のジャーナルより)

自己変容を促すILP(インテグラル・ライフ・プラクティス)の実践公開2021/2 #63

ある程度、知っている前提になるが、内省の筋力だけ(マインド)つけてもできるものではない。

違和感というのは、ボディを鍛えて身体からの異変に気づき、スピリットを鍛えるから直感的にわかることが増える。

肉体をケアせず、疲れてると余裕なくなると、下位の段階へ落ちやすく、体が固くなると、身体感覚の鋭さがにぶくなる。

ぜひ一見無関係に思うかもしれない包括的な取り組みをおすすめしたい。

他の発達理論と関連性

では、ここからは、成人発達理論やインテグラル理論の探求者向けに、より専門的な内容に入っていきたい。

ここからはかなり私独自の解釈、考察になる。

もちろんここに書かれてある内容自体も、私自身の発達段階や意識状態などに立脚して書かれているものとなる。

まずは、他の発達理論との関連性。

行動理論を他の発達理論との比較すると、このようになる。

行動探求、行動理論、発達理論、インテグラル理論

ただし、この発達段階で比較するのは、研究者ごとに見解が異なっている。

私が思うに、実はこの比較はあまり意味がないように感じている。
色ごとに並べてみると、たしかに理解しやすい部分はある。その点とても有意義に思う。

一方で、意味がないといったのは、理解がしやすいという点以外では、あまり役立たないと思っているからだ。

発達というのものは、あまりに多様な種類(ライン)があり、研究者の思想レベルで全く異なるものとなっている。

そもそも発達という概念も構成概念であり、どこまでいっても研究者の主観は切り離すことはできず、研究方法でさえも何かしらの研究者の思想が入っている。

思想的な違いでいうと、たとえば、ロバート・キーガンは、直接の師匠はモラルの発達研究したローレンス・コールバーグであり、構成主義である。

一方、カート・フィッシャーは、行動分析学の創設者、行動主義心理学のバラス・スキナーを汲んでおり、思想が全く異なる。

カート・フィッシャーは発達構造という呼び方をあえてせず、段階(レベル)という表現をしている。

にも関わらず、インテグラル理論の中では、同じように並べられる。
この行為自体、おそらく誤解をまねく側面があるように思っている。

同じように並べられることによって、わかりやすくなるが、そのわかりやすさゆえに、何かその理論固有の価値、重要性を見失いがちになるのではないかと危惧している。

その点を踏まえた上で、今回の行動探求に関しては、ビル・トーバートは、スザンヌ・クック=グロイターとともに研究をしていることもあり、スザンヌ・クック=グロイターの理論と関連させて学ぶことは、より多面的かつ深い理解につながることから、関連させて学ぶことをおすすめしたい。

スザンヌクックグロイターの自我発達理論(EDT)の所感#94

 

時制の概念

発達に関して、時制の概念は外せない。
オットー・ラスキー博士も発達測定においては、時制の観点を考慮している。

今回の行動探求で、個人的に一番おもしろかったのは、P333ページにある時制に関する記述である。

行動探求7

各段階におけるタイムリーな行動と裁量期間が書かれているのは、さらに理解が進むように思う。

図が意味するもの

行動探求

表紙となっているこの図は、面白いことに、この図の説明は書かれていない。笑

だが、実は奥深いように思っている。

この図が意味することは何なのか?
考えたことがない方は、ぜひ考えてみてほしい。

(これを考えず鵜呑すること自体が外交官的(アンバー的)行動である。)

まず、機会獲得型からスタートして、外交官型になり、専門家型となり、達成者型となる。そこから2つの線が出ているのだが、再定義型への道と変容者型への道がある。

順に発達すれば、再定義型になるわけだが、再定義型は機会獲得型と繋がる点から、機会獲得型にも配慮をする相対主義的なニュアンスを感じるし、自分にも機会獲得型の行動があることにも気付いていくことを示唆しているのではないかと思う。

また、どこか一番俯瞰的に位置しているのも、再定義型の特徴をうまく表現しているように思う。

そして、一番おもしろいところが、変容型は、再定義型からの矢印ではなく、達成者型から矢印が出ている。

どうしてなのだろうか?

おそらくだが、達成者型は父性的であり、再定義型は母性的である。変容者型というのは、ある種達成者と再定義型を統合できた人であり、再定義型から以前の力強さが戻ってくる。

弁証法のように、一見表面的には達成者型のように見えるが、再定義型を通って一段あがって変容者になることから、再定義型ではこれまでの段階をまんべんなく味わいきった上で、達成者型の自分から変容者へ発達するようなことを示唆しているのではないかと思う。

最後に、アルケミスト型。細かい点だが、変容者型からアルケミスト型への線だけ、くるくるとした丸が他は1つにも関わらず3つもある。

これにもおそらく意味はあり、変容者からアルケミストへの道は、まるで3つの段階をあがるかのごとく時間のかかるものであるし、螺旋的な発達がより深い(ないし高い)ことを示唆しているのだろう。

そして、真ん中においており、そこから線があらゆるところに伸びているのは、まさに錬金術師のようであり、どの段階も使いこなし、どの段階にも居場所を与えるような存在なのだろう。

状態ともいえる構造。構造はOSなのか、アプリなのか。

さて、ここからは私自身が、ビルの行動探求を通じて学んだことを述べていきたい。

論点として出したい点は、発達構造は果たしてOSなのかという点である。

これまで発達構造というのは、ロバート・キーガンに展開されたように、OSそのものとして展開されてきた。

つまり自分は、その段階に埋め込まれる。

OSを新しい(上の)ものへとアップデートされなければ、使いこなせないし、アップデートされれば基本的にはそれ(その段階)を使用することになる。

しかし、ビルはこれを行動ベースに落とし込んでいて、行動はあらゆる相互作用によって生まれるものであることから、アプリとしての側面もあるように思う。

つまり、達成者型であっても、ある状況によって専門家型、外交官型、機会獲得型、色んな行動が出るということ。

現に、私たちは疲れているときは、イライラしたりして機会獲得型の行動を出ることはあるわけで、この理解の方が現実味がある。

たしかにキーガンは意味構築、認知の段階ゆえに、OS的なのだが、むしろビルは、行動をベースにている点からOSでありながらアプリでもある。

他の発達理論との関連性で、発達理論の段階を同じように並べることに違和感が出てしまうというのはこういうところにもある。

たとえば、自分はキーガンのモデルから自己主導段階だと思っていて、行動探求をみて、安易に達成者型だと思うのはいいのだが、アプリとしての側面があるのだから、実は自分にも外交官、機会獲得の自分が多くいることに盲目的になってはいないだろうか。

人間の内面の奥深さというのはそんな簡単なものではないわけだ。

ビルのおもしろいところは、アプリとしての側面があることを示してくれている点にあると思う。

ビルの功績、行動理論固有の魅力

改めて他の発達理論と比較して、ビルの功績、行動理論固有の魅力について、最後に述べて終わりたい。

ビルの功績、行動理論固有の魅力は、発達理論を行動ベースに落とし込んだ点にある。(そのまんまだが笑)

すでに、先ほど述べているとおり、発達理論は段階の話をしており、アプリ、まるで状態としての側面があることを見事に暗示してくれているように思う。

よくもわるくも、キーガンが認知されていることがゆえに、奥深さが伝わらずに終わってしまっているところに、このような理論があることは嬉しい。

そして、行動をベースにすることは、自分がリフレクションしやすく、発達への道も取り組みやすいものになったように思う。◯次ループ学習というものもその際たる例であろう。

人間の内面の深遠さたるものは、本当に面白い。

これを機に、少しでも多くの方が発達理論・インテグラル理論への関心がでれば嬉しいし、探求者仲間の参考になれば幸いである。

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