先ほど、「インテグラル心理学」の読書会が終わった。
P394から展開される「進化に関する5つの原則」は非常に重要な示唆をくれている。
その中でも、原則2にある「差異化と分離を区別すること」を対人支援に引き寄せてみたい。
まず、差異化と分離の違いについて、次のように分かりやすく書かれてある。
例えば、人間の領域について言えば、心と身体を差異化する(区別する)ことと、心と身体を分離する(切り離す)ことは、全く異なることである。
同様に、文化と自然を差異化することと、文化と自然を分離することも、全く異なることである。
言い換えれば、差異化とは統合への入り口であるのに対して、分離とは、悲劇への入り口なのである。
CONTENTS
人間の存在そのものの捉え方
対人支援においては、まず人間の存在そのものをどのように捉えているのか。
これがいかに、差異化され統合的に捉えられているか。
(=「統合的ー非視点的(integral-aperspectival)=多数の視点をもちながら、どのような単一の視点も特権化されず、統合的な真実をとらえる」)
たとえば、トラウマは身体側にも密接に関わっているにも関わらず、心と身体が分離されたものという認知でいれば、真に深いトラウマの解消は難しくなる。
魂がないがしろにされれば、自然と人間の潜在的な可能性は限定されることとなる。
インテグラルな支援
インテグラル理論をサイコセラピーに応用したマークフォーマン先生のインテグラルサイコセラピーで書かれてある支援は、まさにこういった分離ではなく差異化の支援を大切にしている。
コーチ、カウンセラーにおいても、私を含め、多くの支援者がなにかしらの理論、専門知でもってクライアントを捉え、なにかしらの専門知でもって支援することは、気付かぬうちに分離した状態で支援していることになっている。
これは対人支援業界の致命的な問題に思う。
真にインテグラルな支援をするには、人間の存在そのものを差異化することはもちろんのこと、心理学の各理論、各サイコセラピーそのものも差異化しなければ、難しいだろう。
私の探求も、この問題意識から進めたい。
それは、人間、引いて言えば生命そのものへの大いなる尊厳の態度である。
2021年12月22日の日記より