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日記「あじわい」

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Amour#403

今日、アーツ表現セラピストのすみれさんのアトラエをお邪魔した。

その家に飾った、一枚の絵が、あまりに美しかった。

筆舌し難いものがある。

この絵から愛なるものが伝わってくるし、

人間のとても繊細でか弱い生き物であることを物語ってくれているようにも思う。

しかし、それだけではない。

この絵はどうして、私を惹き寄せるのだろうか?

静かに思うと、人間がいかに愛おしい存在であるかを語ってくれているように思う。

この人はこうだ、あの人はああだと、私の心が色づけしたのであって、私が色づける前の、その人は、本当は愛おしい存在なのだと。

この絵を見ていると、二つの方向から、愛おしさを感じさせてくれる。

ひとつは、この絵を細かく見ていき、この人そのものを見ていく様。

この人を知るために、解像度をあげる営み。

普段規定している言葉や思いによって矮小化することなく、浮かび上がる言葉や思いも保留させ、ただただこの人の語る声に耳をすませ、この存在の唯一無二性を垣間見れば、目の前のこの人への、敬虔な態度が自然と現る。

一方、この絵をぼんやりと眺むように見ていく様。

人たらしめるものを知るために、抽象度をあげる営み。

この人たらしめる唯一無二性は朦朧化させて、人たらしめる身体、顔があって髪があって、腕があって、お尻があって、そこから生まれる動きなど、誰もに共通する人の特性をそこにみれば、人類そのものを、ひいては生命そのものへの畏敬の念が自然と現る。

だから人は、自らのそばにいる存在も大切にしながら、同時に、今まで出会ったことさえない遠い存在も大切にできる生き物であることを、この絵が私に語ってくれたように思える。

2022年3月20日の日記より

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