発達理論を学んでいくと、発達においてperspective-takingの重要性を何度も感じる。
ロバート・キーガンの主体客体理論はまさにそうであるし、レクティカのdecition making(意思決定)を測定するLDMAでも、サブスキルとして組み込まれている。
コーチングにおいても、コーチ側のperspective-takingは問われる。
わかった気にならず、共感的理解を深めるには、どれだけ深く相手の視点をとれるかにかかっている。
たとえば、クライアントが会議で怒りっぽくなるのをなんとかしたいとテーマがあったとして、単にコーチはこの人確かに怒りっぽいもんなで済ませるのではなく、時間軸や空間軸がどれくらい広くとれるかが問われている。
時間軸でいうと、この人が過去どんな経験をつんできたのか。
会議といってもその前に何があったのか。それを知れば知るほど、
単に怒りやすい人で済まさず、そうか、こんなことがあったなら怒りが沸いて当然だよねと深く理解できる。
空間軸も、会社の会議といっているけど、この人がおかれている環境がどうなっているのか。実は会社ではなく、ここ最近家族でうまくいっていないことが影響している可能性もある。
こうやって、コーチ側のperspective-takingは、セッションを進める質問にダイレクトに影響するため、重要になる。
一方クライアントにおいても、perspective-takingが気付きを起こす上でキーになる。盲点となっている視点をコーチと一緒に獲得していく。
会議で怒る要因となった部下は、どのような状況だったのかを一緒にみていく。
このように、コーチングのプロセスは、視点取得していくことそのものなのということができる。
ただ、コーチングで視点取得はカバーされるかというと、視点取得というのは実に深くて、質問をもってしても取れない視点がある。
というのも、視点取得は、その人の経験や知識に密接に関連している。
ここのポイントは極めて重要な点だと感じる。
たとえば、法人研修のセールスで部下教育をする際に、見込み顧客のA社の人事部の課長が、この時期何に課題を感じているのかを考えてほしいとアドバイスしたとする。
そのメンバーが人事経験があるかないかで、とれる視点の広さや深さは全く違う。
単に部下にアドバイスするにしても、それぞれの部下固有の事情を汲み取らなければ適切なアドバイスにはならない。
自分が良いアドバイス、良い質問が出来ていると思っても、相手にとっては不親切に感じてしまうこともあるだろう。
perspective-takingと一口にいっても、どの領域においての視点取得かによって、差がかなりあるように思う。質問でとれるものもあれば、とれないものもあり、その人の経験や知識に影響を受けることが大事になるだろう。
2021年3月11日の日記より
2021年3月12日