有り難いことに、毎月数名、私のこの日記をみて連絡をくれる。
昨日今日も、連絡をくれた方とお話させていただいた。
どちらも共通して、私と一緒に働きたいという連絡だった。
雇用することは難しいのだが、細く長くお付き合いできれば嬉しく思う。
お二方とも、私という人間への関心と、哲学、心理学への関心が高かった。
私がインテグラル理論や発達理論を探求していることから、私という人間に触れて、その領域への関心が高まってくれて嬉しい。
お二人ともコーチングや教育に関心があり、これから学習していきたいとのこと。
今日、インテグラル理論や成人発達理論の話をしながら、改めて押さえておきたいことは、これからコーチングを学んでいくにあたって、成人発達理論・インテグラル理論の位置づけは何なのか。
これはあくまで私自身の考えに過ぎないのだが、私自身がどのように位置づけているかを綴りたい。
CONTENTS
成人発達理論の位置づけ:OSとアプリ
まずは成人発達理論の位置づけ。
これは、よくOSとアプリで例えられる。
コーチングやカウンセリングは、セラピスト側自身のあり方がその場に深く影響していることから、自分のあり方、器そのものを磨くことが重要になる。
成人発達理論は主に、人の器そのものを扱う。PCでいうといわばOS。
一方アプリは、技法。
ブリーフセラピー、認知行動療法、フォーカシング、プロセス指向心理学など。
コーチングも、どのような思想に基づいているかは、スクールごとに流派がある。フレームワーク1つとっても、何かしらの思想、信念に紐付いている。
【要点】
OS :成人発達理論=器、あり方
アプリ:様々な心理療法=技法
OSでありながらアプリでもある
わかりやすくOSとアプリで切り分けたが、より厳密に言うと、OSもアプリも実は密接に関連しあっていて、切り分けられるものではない。
ロバート・キーガンの理論が浸透したために、そのような認識が広がっているが、他の発達理論をみれば、OSもアプリも密接に関連している。
例えば、カート・フィッシャーの発達理論は、従来の発達心理学をベースにしたものから複雑系科学を組み合わせてより精緻な研究をしてそれらを検証した領域になる。
そして、発達理論にも、発達を促すコーチングがあり、技法としての側面もある。
だが、この辺りの理解は、本当に精通しなければ実践は難しい。
インテグラル理論の位置づけ:森と木
インテグラル理論のインテグラルは包括という意味で、メタ理論といわれる。
様々な心理学、哲学、思想、宗教を包括して、それをただ単に並べるだけでも折衷案的に出すでもなく、メタという一段高く、立体的に結びつけた理論になる。
しれっと書いたが、これは相当すごい。
たとえば、フロイト、アドラー、ユングの研究は何が共通で何が差異なのか。その上で、何が言えるのか。このようなことを淡々と研究していく所業。
提唱者のケン・ウィルバーが意識研究のアインシュタインと呼ばれるほどの偉業だ。
ゆえに、個別の理論が木であり、インテグラル理論が森となる。
森は、全体を示す地図としても機能する。
また、全体を見るからこそ、人の内面の本質的なものがわかってくる。
逆に言うと、木は見れない。あくまで遠目で森をみていて、木1つ1つの木目がどうなっていて、葉がどうなっているかはわからない。
ということは、1つ1つの理論は、それはそれで学ばなければならないし、実践していかなければならない。
【要点】
森:メタ理論=インテグラル理論
木:個別の理論=様々な心理学、哲学、思想、宗教
森でありながら木でもある
ここでもわかりやすいよう森と木でわけたが、厳密にいえば、森と木もわけれるものではない。どこまでいったら森なのかなんて定義はない。
ゆえに、実はインテグラル理論も、理論でありながら実践でもある。
どのようにして自己に招き入れていくか
以上のような位置づけを私なりにした上で、コーチングをこれから探求する人にあたっては、短期的にクライアントに成果を出していくのであれば、インテグラル理論や成人発達理論のようなものよりは、もっと別の心理学や心理療法の方がよい。
個人的には、心理学のはじめに学ぶ、カール・ロジャーズ、マイクロカウンセリングのようなベースとなる傾聴から、ブリーフセラピーが適していると思う。
それを実践していく中で、
・自分自身のあり方を磨きたい
・何が全体なのだろうか?何が本質なのだろうか?
・そもそも心理学は構成概念に過ぎず、心や意識というのはどのように存在しており(存在論)、どのように認知すればよいのか。(認知論)
といった問いをもつようになって、読んでいくのがいいように思う。
2021年5月31日の日記より