(photo by エモリー倫理センター)
今月は、アメリカの神学者であるジェームズ・ファウラーの書籍を読んでいる。
代表的な理論「Stages of Faith(信仰発達理論)」は、何に立脚しているのか、調べたので、少しまとめておきたい。
CONTENTS
ファウラー自身の生涯
1940年生まれのファウラーは、両親がメソジストであることに大きな影響を受けて、1958年(18歳)デューク大学にて歴史を専攻。宗教学も学ぶ。
学生時代、アメリカでは、反ベトナム戦争運動や公民権運動が盛んで、学生運動に参加している。
この経験が、彼の関心がより社会性を帯びた格差問題、人種問題などへと進展させている。
卒業後、結婚をして、合同メソジスト協会にて牧師となり働く。
1962年(22歳)、ドゥリュー大学神学校に入学し、神学(B.D)の学位を取る。
1965年(25歳)、ハーバード大学宗教社会学の博士課程後期へ進む。
このとき、ハーバード大学で教鞭をとっていたのが、彼の理論の支柱となるH・リチャード・ニーバーだった。
また、パウル・ティリッヒからも大きな影響を受けている。
その後、インタープリターズ・ハウスという宣教活動に就くことになる。修養会を開催しながら、格差問題や人種問題に取り組むアフリカ系アメリカ人を指導している。
このとき、エリク・エリクソンの発達理論を活動の補助線としており、修養会指導の経験が、信仰発達理論へ研究のきっかけとなっていく。
1969年(29歳)、ハーバード大学神学院にて教鞭を取り始める。
このとき、多大なる影響を受けたのが、ハーバード大学大学院教育学部の教授ローレンス・コールバーグだった。ここに、コールバーグ以外に、ロバート・セルマン、ロバート・キーガン、キャロル・ギリガンもおり、ここで構成主義的発達論に出会う。
その後、1976年(36歳)からボストン大学、1977年(37歳)からエモリー大学で教鞭をとる。
これらが研究のベースとなり、1981年(41歳)にて、「Stages of Faith(信仰発達理論)」が完成した。
1990年(50歳)、チャールズ・ハワード・チャンドラー神学教授。
1994年(54歳)、倫理学センターの初代所長就任。
2005年(65歳)引退。
2015年(75歳)死去。
ファウラーの理論形成の立脚点
ファウラーが提唱した「信仰発達理論」は、神学的な観点と心理学的を融合した理論となっている。
これらの立脚点は、以下のようになる。
まず、神学的な観点は、ニーバー、ティリッヒの信仰論の影響が大きい。
ニーバーの唯一神信仰に基づく「普遍化された信仰」に近づくことを理想として、そこまでの成長課程に、発達理論を活用している。
発達理論は、エリク・エリクソンを踏襲しつつ、発達測定の観点で、構成主義的発達論者を援用している。
・ジャン・ピアジェの認知、論理機能
・ローレンス・コールバーグの道徳判断機能
・ロバート・セルマンの社会的視点取得機能
ファウラー後の信仰発達理論
ファウラーの信仰発達理論は7段階で、ティール段階までしかない。
ケン・ウィルバーは、オーロビントらの段階や多くの東洋思想・哲学を参考にして、さらにそこから第三層の段階までを足して、肉厚にしている。
概観としてはこのような以上のようにまとめられる。
2021年8月28日の日記より