夢に関する映画をみていこうと、インセプションに続き、ドラえもん夢幻三剣士を見た。
夢についてのいくつかジャーナルを書いてきたが、この話も夢に関する重要な点が描かれているように思うので、ここに残しておきたい。
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「夢」
この映画では、「気ままに夢みる機」という道具で、自分の好きな夢をみられるひみつ道具。
フロイトの願望充足理論に沿う形で、自分の願望が夢に投影されている。
のび太は、ジャイアンやスネ夫を子分にしながらしずかちゃんとうまくいく夢を、ジャイアンは歌手としてスーパースターになっている夢を、スネ夫はハワイを貸し切りや宇宙旅行の夢を。
今更ながら、夢というのは面白い。
寝ている時にみる「夢」と将来の願いである「夢」を、漢字にしても英語にしても、どちらも夢、Dreamsと同じ単語で表現する。
それは、実はダブルミーンと思いきや、寝ている時にみる夢は、自分の願望が投影という意味で、自分の願いでもあるから、一緒だということで、同じ単語で使用しているのかもしれない。
設定やあらすじ
本作品の面白いところは、夢幻三剣士という夢カセットを通じてみる夢が、単なる夢ではない設定が興味深い。
可能世界論やパラレルワールドのように、夢の世界は、第二の現実というべき世界になっており、夢の世界のできごとが、現実世界にも影響を及ぼす設定になっている。
より交錯するように、
・「気ままに夢みる機」には、夢と現実を入れ替えるスイッチがあり、どちらが夢と現実かわからなくなるボタンがある。
・夢から覚めたはずなのに、夢は独自で物語が進行している
という設定もある。
この映画の一番のメッセージは、映画序盤、夢幻三剣士のカセットの取扱説明書を読んでいるドラえもんとのび太の会話にある。
ドラえもん(取扱説明書を読みながら)
「ご使用の前にっていう注意書きがある。」のび太
「そんなものどうでもいいじゃな〜い」ドラえもん
「この夢は強いパワーを持っているので、現実世界に影響することもあります。」のび太
「それいいじゃない。もし僕がスーパーヒーローになれば、夢から覚めても少し強くなっているってことでしょ。」ドラえもん
「そんなことかな」
「(再び取扱説明書を読む)このカセットは〜」のび太
「(ドラえもんの話を無視して、寝始める)(配役について)主役は僕、あとは任せる!」ドラえもん
「まだ注意書きがあるよ。寝ちゃった。ややこしいことになっても知らないからね。」
このあとややこしいことになる予感を漂わせる典型的なやりとり。笑
その証拠として、映画のラストシーンにて、現実世界での学校が山の上に移動しているという影響が出ている。
ここがどういう意味なのかの解釈は、視聴者に委ねるように映画が終わっている。
夢が現実世界に影響を与える
この夢が現実世界に影響を与えるというのは、映画「インセプション」でも同様の話であった。
(他者と同じ夢に入るという点もインセプション同様)
学校が山の上に移動しているという物理的な影響はたしかに考えにくいかもしれないのだが、人間の心理的な変化は確実に起こる。
のび太が、
「もし僕がスーパーヒーローになれば、夢から覚めても少し強くなっているってことでしょ。」
というセリフはそのとおりで、この夢を通じて確実にのび太は自信をもつ人間に成長しているし、しずかちゃんはのび太のことを好きになっている。
明恵聖人が夢記を通じて悟りへの道を歩んだように、夢というのは、個人の成長に影響するものであることを、この映画は教えてくれているように思う。
2021年5月5日の日記より
2021年5月8日