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日記「あじわい」

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リルケ「若き詩人への手紙」をあなたへ#401

リルケの言葉は本当に、甘美で、深く、力強い。

カプスへ贈られる最初の手紙は有名であるが、響くものがやはりある。

「あなたの悲しみや願いや、過ぎ行く思いや、何か一つの美に対する信仰などをえがいてください。ーーーそれらすべてを、熱烈な、しずかな、謙虚な誠実さをもってえがいてください。

そして自らを表現するために、あなたの身のまわりの事物を、あなたの夢乃中の姿を、あなたの追憶の対象を用いてください。

もしあなたの日常があなたに貧しく思われるならば、その日常を非難してはなりません、あなた御自身をこそ非難しなさい。

あなたがまだ本当の詩人ではないために、日常の富を呼び寄せることができないのだと自らに言いきかせることです。

というのは、創作する者にとっては貧困というものはなく、貧しい取るに足りぬ場所というものもないからです。」

親愛なるリルケ、まさにその教えのとおり、私は日記を創作し続けています。

それがわたしに大きな贈り物をくれています。

しかし、それは同時に、私から多くのことがあまりにこぼれ落ちて、見過ごしていることの多さに気付かされることでもあります。

そう思い、寒い冬空の中の庭で、私は静かに目を閉じた。

私が静かにすると、私の内なる詩人が、そっと語り出してくれる。

それに耳をすませる。

すると、この日常に、とても大きなものがあることを教えてくれる。

私はなんと大きな愛に包まれているのだろうかと。

今そばにいる、母、父、祖母、そして大切な人。

返しても返せぬ愛がここにあります。

そして、私の内面の奥深くに、存在し続けることを感じます。

さて、手紙を読み進めると、あなたが送ってくれる言葉には、多くの重要なことが書かれてあるように感じます。

「芸術」について、「性」について、「愛」について。

しかし、最も重要なのは、「孤独」について、語ってくれているように思います。

孤独というものが実に尊いものか。

私の心は、私にしかわかりえません。

どのような言葉を当てても、音や絵や踊りや言葉を超えたものを当ててもです。

つまり、孤独ゆえに、一人ひとりに唯一無二性が生まれるのではないだろうか。

孤独は、実存であり、魂であることを語ってくれているように感じます。

あなたの御芳情に感謝申し上げます。

さて、最後に、リルケの言葉を2つ、引用して親愛なる人たちに贈りたい。

「それからもうひとこと。どうかかつてあなたが子供だったころに課せられた、あの大きな愛が失われてしまったとはお考えにならないでいただきたい。

偉大な、よき祈願が、今日なおあなたがそれによって生きていられる意図が、当時あなたの中で成熟していなかったと、あなたは言い切ることができましょうか。

私はそういう愛があなたの追憶の中に、強く激しく存在し続けていることを信じます。なぜなら、その愛こそあなたの最初の深い孤独でありましたし、あなたが御自身の生についてなさった最初の内面的な仕事であったからです。」

「さてあなたのお言葉の一つ一つに立ち入って申上げることは、おそらく何の役にも立たないと思います。
(中略)
そのほかあなたを苦しめるすべてのことに関して、私の申し上げられることは、ーーーいつももう私が申上げたのと同じことになるからです。

堪え忍ぶだけの忍耐と、信ずるための十分な単純さとを、自分自身の内部に見い出してくださるようにという希望です。

また、困難なものや、他人のあいだで感じられるあなたの孤独に対して、ますます信頼を深めていただきたいという希望です。

それはともかくとして、人生をしてそのなすがままになさしめてください。どうか私の言うことを信じてください、人生は正しいのです、どんな場合にも」

2022年2月27日の日記より

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