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日記「あじわい」

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自分をもっと好きになりたい。インポスター症候群の方とのカウンセリング #28

(本内容は、クライアントよりリフレクションジャーナルに掲載許可を得ています。)

今日は、とある友人にコーチングをさせていただいた。
その方とは初めてのセッション。

まず、今日のセッションに向けて、彼女はすごく準備をしてくれていた。
「事前に何か共有しておきたいことがあったら、遠慮なく送ってくださいね」と伝えると、当日メッセージがきてた。

そこには、自分が10年ほど悩み続けたことが赤裸々に書かれていて、自分で書いていて涙が溢れてきたと書かれていた。

このメッセージを見て、本当に嬉しかった。

涙がでるほど、頑張ってきたわけだ。
なかなか打ち明けることさえできない。
向き合うこともしんどいし、よくわからない部分も多い。

それと今日は向き合っていくんだ。
彼女のその覚悟が感じられた。

おっけー。
とても大切な話を私に打ち明けてくれてありがとう。
今日はいけるところまでいこう。大丈夫。きっと良い時間になる。
と、返事をした。

彼女は、自分のことを心から好きになりたいとのこと。
近年特に女性で増えていると言われているインポスター症候群だと自分で思っているとのこと。

完璧主義で、できないことがあると、自分はダメだと思ってしまう。
できていることがあっても、「もっとできるはずだ」と思う。
過去の成功体験を思い出しても、自分の力ではなく、周りのおかげ、
ただ運が良かっただけと思ってしまう。

この癖に気付いてから、できていることに目を向けようとするが、
まだ自分を追い詰めるような考え方になってしまうとのこと。

どうだろうか。
自分も読んだときに、すごく共感できる部分がある。

まず、最初に私が思うのは、これもあくまで1つの認知に過ぎないし、それが悪いとも言えないと思っている。

その認知があることは、健全と言える。
その認知があるから、謙虚でいれたり、周りに感謝できたりできることもある。

具体的にどんな場面でそんなことを思うのかを聞いていくと、意外にそのときの認知は適切で、大したことないかもと思えるかもしれない。

そんなことを思っていた。

ただ、彼女のこのメッセージを読むと、自分でその思考の癖に気付いているというのがポイントだと思った。

私から彼女の印象も、自己認識を深くもたれている方なので、この認知に健全な部分があることも承知の上なのかもしれない。

そう思うと、改めて今日のセッションは、難解なものになりそうな感覚もあり、自分の中で仮説をいくつも考えたり、直前で仮眠をとったりと、自分自身の状態を整えた。

夜、セッションがスタートする。
案の定、話を進めるととても深い話で、最終的には90分もの時間もかかった。
改めて、90分間向き合い続けた彼女の精神力がすごい。

話すると、色んな点で、一般的に女性が抱くインポスター症候群とは違う内容に感じた。
そして彼女自身、それが肯定的な面があることも重々理解していた。

それでも、なぜ彼女がもっと自分を好きになりたいのかをきくと、
好きになれると、今この瞬間を楽しめる。
きっと、自分が自分で良かったと思えるんだと言う。

さらに話を進めると、だんだん彼女の中で葛藤しているものが次のように集約された。

「今を楽しみたいピュアな自分」

「もっと頑張んなきゃ。もっと努力しなきゃ」
という自分。

私は、ゲシュタルト療法のエンプティ・チェアという技法でこの2つの葛藤する自分を分けて、対話を促した。

まずは、今を楽しみたいピュアな自分。
本当は、失敗してもいいし、できない自分も受容して、心配せずに今を楽しんで生きたい。
だから、「もっと頑張んなきゃ」の自分は有り難いけど、どっかいってほしい。
でも自分の目の前に現れてしまう。

そんなことを話して、今度は立場を入れ替わり、「もっと頑張んなきゃ」の自分になりきった時、彼女の中で変化が起きた。

「この自分は、目の前の自分を守ってあげたいと思っている。ピュアな自分が素敵なのはわかってるけど、今までたくさん傷ついてきたから、傷つくことを守ってあげたいの。」

邪魔だと思ってた「もっと頑張んなきゃ」の自分が、実は私のことを守ってくれてたんだ。
そう気付いた時に涙が溢れ出した。

そして、ピュアな自分の立場に再び戻り、守ってくれようとしてくれる自分に言う。
「守ってくれてありがとう。でも大丈夫だよ。今の私は過去傷ついた自分から成長したし、周りに私を助けてくれる人がたくさんいる。だから私もう大丈夫なんだよ。守ってくれてありがとう。」
そういって、ハグをした。

セッションを終えた後、彼女は
「10年来悩んだことが、なんだったんだろうと、不思議なくらい一気に解決された」
と、とてもスッキリした顔で、私に何度も感謝をしてくれた。

今回は、一回で劇的な変化が起きたが、これは彼女自身が、もうこの理想の状態に近づいていたのだと思う。
彼女自身が、自分と向き合い続けた結果、今日のことが起きた。

改めて、人間は、生きていくにあたって、色んな自分をつくってくれている。

怒りや哀しみから避けるために、自分が傷つくことを守るために、自分の中で、色んな自分をつくってくれている。

時に矛盾するように感じ、嫌に感じる自分の部分も、肯定的な側面がある。

それに気付いた時、ありがたく感じる。
そして、受容することができるようになってくる。

そう思うと、どんな自分も愛しくなる。

いつも思うのだが、クライアントの人生に触れて、私自身がすごく癒やされる。
私という人間が、彼女になりきり、彼女が統合していくプロセスを一緒に感じていくことで、癒やされていく。

もちろん、セッションが終わると、私はクライアントではなく、自分に戻る。ただ、同じ人間だ。
彼女の癒やしは、私の癒やしにもなっている感覚は私にも残る。

そう思うと、本当にどちらがカウンセラーでどちらがクライアントなんてあってないようなものなのかもしれない。
改めてそう思う。

私にとってもすごく有り難い貴重な時間だった。

2020年12月27日の日記より
2021年1月11日公開

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