ゼミの課題となっているケリー兄弟の著書「クリエイティブ・マインドセット」の第3章まで読み終わった。
第3章に、クリエイティブな力を育てるためには、日常生活でインスピレーションに遭遇する機会を増やすよう心がけるのが1つの手と書いてあった。
そのための方法として、以下が紹介されていた。
①クリエイティブになると決意する
②旅行者のように考える(見慣れたものでも新しい視点でみる)
③リラックスした注意を払う
④エンド・ユーザーに共感する
⑤現場に行って観察する
⑥なぜで始まる質問をする
⑦問題の枠組みを捉え直す
⑧心を許せる仲間のネットワークを築く
どれもコーチングで重要なことと同じと言える。
それもそのはず。人間中心のデザイン手法で、本人が気付いていないような潜在的で、真のインサイトを見つけるのが最初の「共感」フェーズであり、ここはコーチング、カウンセリングと同じものが多い。
もちろんその後プロトタイプを作っていく際には、BTC(ビジネス・テクノロジー・クリエイティブ)が必要になってくるので、コーチングの範疇を越えてくるのだが、最初の共感は、コーチングのマインドセットやスキルがそのまま活きてくる。
実際、IDEOでは、ユーザーの観察やデプスインタビューは、認知心理学、人類学、言語学、社会学の分野で修士以上の学位をもつ人を雇っていると書いてあった。
このデザイン思考の「共感」で、私自身の体験を振り返れば、これまで2社スタートアップを経営していた時代で、デプスインタビューをしたのを思い出す。
まだまだ経験値としてはやっていたと語れるほどではないが、当時は洞察力が眠ったままだったと思う。
難しさを感じたのは、いくつもあるが、その中でも特に感じたのは「問題の枠組みを捉え直す」こと。
今思うと、解決策に囚われていたように思う。
プロトタイプをつくり、サンクコストがかかってきて手放す判断が難しかった。
この「問題の枠組みを捉え直す」ことは、コーチングの中でも私が特に今意識しているかもしれない。
たとえば、先日もクライアントが、社長との関係性を改善させたいという相談があった。
今のままでも問題ないのかもしれないが、将来自分がコーチとして独立して、立派なコーチになるにあたっては、社長との関係性を今のままではいけないように思うという。
直感で、それは解決策の1つに過ぎず、それで本当に理想の自分になれるのかは、もっと別にあるように思った。もちろん私のこの直感が誤ることも多いので、1つの仮説にすぎない。
セッションでは、どんな時に社長との関係性を改善しなければと思ったのか、具体的に聞いていく。すると、アサーティブに言えていない自分を変えたい。
目上で圧迫感ある人でも、アサーティブに言える自分になりたいという。
さらに、焦点を変え、未来にいく。
コーチとして独立した自分の姿を想像して、自分がアサーティブにコミュニケーションをとれているから、良いセッションができているなどが出てくる。
そこで、改めて今回の相談内容に迫る。
未来の自分から、過去の自分(=相談している現在の自分)を振り返ってみて、社長との関係性をどう見えるのかを問う。
「あくまで、自分がアサーティブにコミュニケーションをとるための1つの関係性に過ぎないと思える。
確かに良くはしたい。ただ、どこまでいっても相性はあるし、今の会社の事情もあるので、社長との関係性の改善は別に必須ではないと思える。」
結果的に、社長との関係性を改善するという解決策になったものの、クライアントの真の問題は、アサーティブに言える自分でいたいということだと言える。
これは、デザイン思考で、共感に必要な「⑦問題の枠組みを捉え直す」だけの例だが、①〜⑧、どれもコーチングと共通するマインドセットがある。
その意味で、私は、今コーチングやカウンセリングを教えているが、マネージャーに良い1on1、マネジメントをするための文脈で必要性を話すことが多いが、
それにとどまることなく、デザイナーや起業を目指す人にもぜひコーチングや心理学に触れて欲しいと思う。
2021年1月11日の日記より
2021年1月15日