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日記「あじわい」

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医院長のリーダーシップ #6

久しぶりに歯医者に行った。仕事の都合で30分遅れる旨のお詫び電話を入れて向かった。担当は医院長だが、出会った瞬間強い口調で私にこういった。

「飛行機だったらもう出発してますよ。もし次の予定が飛行機だったら仕事と飛行機どっちを優先しますか?」
「・・・飛行機です」
「ですよね。歯医者だったらいいと思ってるんでしょ。それだと私も良い治療ができないんです。結果あなたのためにならないですよね。」

私は驚きながらも内心感心していた。笑
ここまでクライアントに自己主張できるのは日本人では珍しい。(日本人とまとめるのもややよくないが。)さらに、良い治療ができないというクライアントの目線の発言もされている。

職業に貴賎なしという言葉は大好きで、どの仕事でもどんな人でもリスペクトして接したい。だが一方で、仕事の内容や他への影響力によっては優先順位がかわることは起こる。それは歯医者だから遅れていいというものではなく、私のそのとき置かれている環境によって変わる。なので、結果的に飛行機ならずらさないでしょうと言われたらそうだが、職業に差をつけているわけではない。そう言おうとしたが、忙しくて時間がなさそうなこの状況で言うと、言い訳のように聞こえるだろうと思い、シンプルに謝った。

おそらく人によっては、責められてるようなこの強い口調では、不快に思うだろう。それでこの歯医者には通わなくなる人も中にはいるだろう。医院長はおそらく自覚している。それでも自分の仕事として価値観を何より大事にしている。たとえ相手がクライアントであろうと。

そんなことを思いながら、周囲に耳を澄ますと、この医院は他のスタッフから力強さを感じる。言葉尻の強さ、態度。医院長のふるまいが組織全体の風土を作っているように感じる。リーダーの影響力はここまであるかと改めて感じた。

そして、もう1つ気になった。医院長の診断結果だ。やや決めつけのように感じた。私自身、歯のことは知らないが、自分の歯のことなので、直感でそうじゃないと感じて伝えた。

ここまでカリスマ医院長だと、自らの診断に疑いを持ちにくいという副作用があるように思う。そして、このふるまいだと周囲から異論を唱える人は限られているように感じた。少なくとも専門外の患者は言いにくいだろう。

今こうやって改めて書いてみて思うことがある。
自分に自信がある人ほど、成功体験を積めば積む人ほど、自分の価値体系や持論を疑うことは難しい。そのため第三者からのフィードバックは非常に重要だ。私が率直に感じたことを伝えるのも1つだったなと思う。が、この時いうものでもない。次回行った際に、感じたことを伝えていいですか?と一言添えて、伝えてみたい。

もちろん、私の感じたことが事実ではなく、あくまで私という主観から生まれた1つの意見に過ぎない。それをもって判断してもらえればいい。そのリーダーシップは本当に素晴らしいと思っている。直してほしいとも思っていない。それが医院長の良さだろうし、副作用の側面を理解した上で、進んでいってもらえると嬉しい。

歯医者1つとっても、色んなことを感じる日だった。

11月某日の日記より
12月20日

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